【リトアニア】おもちゃっぽいキュートなトラカイ島の城(小国など

【リトアニア】おもちゃっぽいキュートなトラカイ島の城
 リトアニアにある、バルト海周辺諸国独特の赤い帽子付きの建物。これ、リトアニアで有名なお城なんです。
Thumbnail:Trakai castle, July 2006. Photographer: Jan S. Krogh.
Trakai
By ggmackem

 リトアニアは、14世紀頃ヨーロッパで最大の勢力を誇っていた当時の強国でした。なんとその版図、バルト海から黒海北岸にも及んでいたそうなのです。現在のウクライナ、ベラルーシと本土リトアニアをほぼ全域包む形です。
 そんなころのリトアニアのトラカイ島に建てられたのが、このトラカイ島のお城です。
 その後リトアニア王は、ポーランドと婚姻関係を結んで、ポーランド王も兼任することになったため、本当に巨大な国家に成長します。現在でもヨーロッパ内では国土が広いポーランドとウクライナ、ベラルーシ、そして現在のリトアニアも含んでいたわけですから。

 当時は、広大な荘園を持つ貴族が栄華を誇る、貴族天国であったそうです。
 でも、13世紀、リトアニアの存在が目立ちはじめた頃から、多神教が主流だったリトアニアは、キリスト教国のドイツ騎士団などからの攻撃を受け続けていました。
 これまたヨーロッパ特有のややこしい話なのですが、恐らくポーランドで招聘されたドイツ騎士団がリトアニアを攻撃していたモノと思われます。後にポーランド王も兼任することになるリトアニアですが、その前まではポーランドに攻撃を受けているのではなくて、ポーランドにいるドイツ騎士団が異教徒の多いリトアニアを攻撃していたというわけ……かも知れません(スイマセン、正直自信がない)

 ヨーロッパはとかく「大名」が領土のすべてを支配しているわけではなく、教皇、教会、貴族、国王等々が入り組んでいろんなところにいろんな形で利権を持っていたわけですね。

 そんな騎士団の攻撃に幾度も晒されたこのトラカイ島のお城は、必要性に迫られ、幾度も増改築が行われています。元々は、王様が宝物をストックするお城だったようなのですが…

 しかし、さらにややこしいことに、ポーランドと婚姻関係での共同の国家、同一の国家であった時代に、ポーランドと協力してドイツ騎士団に勝利しているというのです。
 ややこしさにもほどがあるというモノですが、そんな時代のお城です。
リトアニア - Wikipedia

trakai_46
By Darriuss Royce

trakai_65
By Darriuss Royce

 遠目では可愛くて幻想的なんですが、寄ると良い感じの年季が入っていますね。
 16世紀には牢屋にも使われていたそうで、見た目とは裏腹に、大砲なんかも多数装備されていたようです。
 一時はポーランドとの連携を解消しようかなと思ったリトアニアでしたが、ロシア方面のモスクワ大公国がドンドン巨大になるにつれ、リトアニアはそのままポーランドとの関係強化を続けなくてはならなかった関係です。
 このカワイイお城も、モスクワ大公国の圧力によって、重要な軍事的な拠点としての重要性が高まってきたというわけです。

 しかし、日本でも「リトアニア」と言うとなじみがないことからも分かるように、ポーランドといっしょの時代が長かったため、ポーランドと同化しはじめていただけではなく、リトアニアの政治的欠陥(貴族天国で、貴族たちがそれぞれ自分たちの利権を主張しすぎたせいで、リトアニアという国家自体が半ば自然消滅的に崩壊)により、ロシアに併合されてしまうことになり…
 一旦世界史の歴史からリトアニアは消えてしまうんです。
 そうです。このお城もモスクワ大公国に攻撃され、併合され、壊れたまま忘れられ…
トラカイ島城 - Wikipedia

Trakai Castle
By Rod Costa

 しかし、ここからが皮肉というかなんというか…
 当のリトアニア人たちは、一瞬ロシア帝国から独立を果たしたりもするのですが、その後、ナチスドイツに併合され、リトアニアの構成民族の一つであるユダヤ人を失う…というか売るという悲しい歴史、そしてソ連時代にはシベリア送りにされるリトアニア人が多数いたりと、非常に辛く苦しい時代を続けていくことになるのですが、荒廃したトラカイ島のお城は、当のロシア人や、ドイツ人、ポーランド人などの、入れ替わり立ち替わりリトアニアを併合した国々の学者たちによって、大戦で中断しながらも、徐々に再建されていったそうです。

 このかわいさの影には、リトアニアの歴史がぎゅぎゅっと凝縮されているような気もします。
 なんというか、少しだけ不思議というか、現実は小説より奇なりというか、上手い言葉が見つかりませんが、そんなカワイイお城のお話でした。

 
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Comment
26
ちょっと補足させてください。
バルト系の「リトアニア民族のリトアニア」という国家は中世中期にルーシ国家群と合同して以降は存在したことがないんです。
ルーシ国家群との合同以降、リトアニアは実質的にルーシ人貴族が優勢な東スラヴ系のルーシ国家で、官庁語はバルト語でなく東スラヴ語のルーシ語でしたし、原リトアニアを含む北部一帯のみバルト系だったんです。
しかも、現在のリトアニア共和国はリトアニア大公国の法的継承国家ではなく、ポーランド・リトアニア共和国(「共和国」)の法的継承国家である現在のポーランド共和国がリトアニア大公国の法的継承国家なんです。
それでは今のリトアニア国家はなんなのかというと、実はこれは20世紀に(じつはドイツが作った)原リトアニア農民の「階級国家」でして、いっぽうリトアニア貴族やその子孫は「共和国」時代やそれ以降の時代にほぼすべてポーランド文化に染まって「ポーランド人」となっています。
いまのリトアニア人は「階級闘争」によって成り立った国民ですから、そのお城の主たちと直接のつながりはなく、貴族国家とその継承者であるポーランドのことを良く言わない人や、ドイツの国粋主義者になびく人が多いのです。
とはいえ、ポーランドやリトアニアでは貴族(シュラフタ)は全国民の10%、ポーランド語を母語とする者では25%という膨大な数を占めていて、20世紀になるまでこれだけの人が参政権(しかも法的に平等に)を持っていた国は世界では他に存在しませんでした。
ちなみに、リトアニア最大の貴族ラジヴィウ公爵家の本家の御曹司ドミニク・ラジヴィウさんはいま、ポーランドの現政権の副財務大臣をやっていますよ。

27
Re: タイトルなし
 補足ありがとうございます。
 本当にスゴイ国ですね、リトアニア。この簡単な記事書くだけで数時間を要した…つまり、とんでもなく入り組んだ歴史だったのですが…。今のリトアニアは、つまり貴族階級がそっくり抜けたリトアニア…もっと言えば、リトアニアに住んで、貴族などのやりとりに翻弄され続けた、本当のリトアニア地方の人たちの国って感じでしょうか?
 深い…

28
日本からサムライやその子孫がゴッソリと海外移住してしまったら、それが現代のリトアニアに近いという状況でしょうか?

それとも、古代の共和政ローマからローマ市民のほぼすべてが外国に移住し、ローマ市民でなかった、残された者たちが国を作ったとしたら、それが現代のリトアニアに近い?

29
Re: タイトルなし
 どっちでしょうね?
 共和制ローマをどう見るのか、日本をどう見るのかというのが関わってくるので難しそうですが…
 江戸時代の貴族とは違う公務員的存在だった大多数の侍をどうとらえるかもあると思いますが…共和制ローマが私はイマイチ良く分かっていませんが、共和制ローマ自体(前期)が現在のリトアニアに近いイメージかも知れません。参政権を持つ貴族階級がいない共和制ローマでしょうか。共和制ローマでは、貴族側が譲歩して共存していきますが、リトアニアでは既に大部分の貴族は前時代にいなくなっていて、その上で農民たちがさらに一部の支配階級を倒したと言う違いなのかな?
 或いは、有力大名家だけがごそっと違う国と同化してすでにいなくなった日本の江戸時代といった感じでしょうか?
 そして、その江戸城をはじめとした巨城は、江戸城下の農民や町人と直接関係がない施設…と言った感じかな?

 また通りすがりさんが通りすがればいいのですが…

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