By Jaeger-Meister とにかく色合いが綺麗です。
ドイツやオーストリア周辺で見られる壁のバッテン模様が、城の上部にある尖塔部分に綺麗に描かれています。真っ赤で色合いが強く、えぐい印象になりそうなモノですが、不思議と調和しています。強い色だというのに、なんかあの壁の模様って不思議と落ち着きますよね。
頑丈そうな城壁ですが、城の上部をはじめ、あちこちにとんがり帽子のように尖塔が建っているのが雰囲気を一転させています。可愛いですよね。
ドイツと言えば「真面目」がステレオタイプですが、建物はなんか可愛いのが多いのが面白いです。イギリスなんかは対照的にシンプルがっちりデザインが多いんですが…これはこれで、国民性を表しているんでしょうか?
By Wolfgang Staudt
By Viorel Oprea さて、エルツ城には尖塔がいっぱいあるのには訳があります。
これ、世界でも珍しいと思うんですが、言ってみればシェアハウス…ならぬ「シェア城」とでも言える形で建設されているんだそうです。複数の貴族が、みんなでいっしょに資金を出し合い、一つの大きなお城を建てるという感じで、勿論複数の貴族がいっしょに住みます。
建ったのが12世紀のお城ですから…
かなり珍しいですよね。あまり聞いたことがありません。日本ではそういうお城はありません。複数の武将が城にこもったり、戦略的な関係で城主ではない武将が一時的に城主の役割を果たし、兵士を駐留させたりはしますが、必ず所有者は一人、一家族ですよね。羽柴秀吉と明智光秀が「お金が足りないからいっしょに城を建てようか」とはならないわけで…
ヨーロッパでもだいたいそんな感じの実践的な城と、貴族が住居にするためのお城とがありますが、城主が複数というのは、今まで聞いたことはありませんでしたが…
ドイツでは、そういうお城が結構あるそうで、現在はそれぞれの子孫による継承権などが争われることもあるのだとか。
By Roger Wollstadt このエルツ城も複数の貴族、ドイツにある騎士団だとか、有力貴族の配下とか、その辺りで活躍する中流貴族的な?城主が3家シェアしていました。みなさん神聖ローマ帝国の貴族ですね。
氏族で部屋がさらに細かく分けられていたようですが…特に期待するような城主間のいざこざなどはなかったようで…時代時代でみんなここのそれぞれの領主は、ヨーロッパでも有名な紛争や帝国の政治などでおのおの活躍していたようです。なんか…マンションっぽいですね。
ひょっとして、妻同士でランチとかお茶とかやってたんでしょうか? ビールとソーセージで? 可愛い城の中で?
どんな感じだったんでしょうね?
By Dimitar Denev